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ビンラディン亡き後

商売っ気が増しつつある朝日新聞にしては珍しく、興味深い記事に出会った。
全文はリンク先を読んで欲しい。
非暴力に目覚めた中東民衆、取り残されたアルカイダ
国際テロ組織アルカイダは、中東各国に広がった民衆革命の最大の敗者かもしれない。非暴力による社会変革の可能性に目覚め、政治参加の機会を得たアラブ民衆にとって、過激派のテロはもはや不満のはけ口にはならないからだ。中東変革の年にビンラディン容疑者が死亡したのはその意味で象徴的だ。
~ 中略 ~
富豪の出身であるビンラディン容疑者自身が示すとおり、テロを支える土壌は単純な「貧困」ではない。さまざまな「不公正」に対して、国際社会が対話と非暴力で正義を実現する道を模索しない限り、力だけでテロを封じ込めることはできない。中東には、まだそうした不公正や矛盾が目に見える形で存在する。ビンラディン容疑者の死を「対テロ作戦」の軍事的成果にとどめず、「テロを生み出さない世界」へと結びつける起点にできるかどうか。国際社会が本当に試されるのはこれからである。(中東アフリカ総局長・石合力)
(2011年5月3日 朝日新聞)
ウサマ・ビンラディンの死亡に関する評価は、既に色々なところで行われているが、はっきりしているのは、ビンラディンが死亡したからと言って、アメリカがテロリストに勝利したという訳ではないことだ。
パレスチナ紛争を筆頭に、今もテロリストの背景にある国際的な社会情勢は、まだまだ問題を抱えたままである。
結局のところ、ビンラディンなる人物は、アメリカによって国際テロリストとしてカリスマ化され、アメリカによって殺されただけの話でしかなかったということだ。
そもそも、彼が、9.11のテロにどれだけ関与していたかどうか未だに明らかにはなってはいないし、今回の殺害に関しても、米政府の一方的な発表にしか過ぎず、殺害に至る経緯にも未だ多くの謎を残している。
もちろん陰謀論などに加担するつもりなど毛頭無いが、敵が存在しないと社会正義が成り立たない、歪んだアメリカ社会の一面を表している出来事でしかないように思える。
今回のビンラディン殺害に関しては、予てから内偵済みであったことや、突入の時期や方法、遺体の処理の仕方まで極めて計画的になされており、当然殺害も想定していたと考えられる。
対テロ対策におけるビンラディン殺害の実質的な効果は、さほどあるとは思えないことから、支持率低下に苦しむ、オバマ大統領の政治的理由によってビンディンは殺されたと考えた方が妥当性は高いと言わざるをえない。

一方、アラブ諸国における民主化の動きは、アメリカの影響力の低下を招いていくのと同時に、テロリストの存在意義をも薄めていくという、アメリカにとってはなんとも皮肉な流れを引き起こそうとしている。
反米感情以前に、強権的な政権に対してアラブ諸国の民衆が自ら動き出していることの意味は大きく、この流れは今後ますます加速していくことであろう。
即ちそれは、反米を掲げてきたテロリスト達にとっても、活動方針の修正を迫られることになる。
当面は一進一退のアラブ情勢となりそうだが、石油資源を抱える国が多いだけに、中東情勢の変化は、そのまま世界経済と国際政治の変化を意味することであり、ひいては、エネルギー問題を抱える日本の原子力発電の意義にすら関わってくる話なのである。
中東情勢に無関心な日本のマスコミには呆れるばかりだが、今現在、アラブ諸国で起こっている民主化の流れは、ひょっとすると歴史の転換点になるかもしれないということを、我々は認識し、もっとアラブ諸国の動向に関心を持っていかなければならない。

結局、テロリストに対してもっとも効果的だったのは、米軍を総動員し、莫大な国家予算を費やしたアメリカ政府のテロ対策などではなく、一人のアメリカ人の大学生が作ったソーシャルネットワークの「Facebook」であったということになるのであろうか?
アラブ諸国が民主化の産声を上げようとしている今、世界中を駆け巡ったビンラディン死亡の報は、アメリカ国家とテロリスト組織の両者を、過去の産物へと変える出来事になるのかもしれない。


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