SSブログ

政党とはこれ如何に

8月末に民主党の代表選挙が行われ、新たな代表即ち総理大臣が決まった。
加えて、党人事や組閣の陣容を見て、やたら気が重くなった次第だ。
挙句、各社の世論調査では、高い内閣支持率が出ているようで、失望感すら感じている今日この頃となっている。

巷では、どじょう内閣だの泥臭い総理だのと、もてはやされているようだが、当ブログには泥まみれの内閣にしか到底見えない。
さしずめ、これまでの民主党政権から漏れ出た政治課題を、野田新総理がせっせと泥で塞いでいくということなのだろう。
残念ながら、これで日本の政治が当面停滞することは間違いないと、当ブログでは考えている。

もともと、民主党といえば、政治理念や政策、背景や利害関係等々、それぞれ異なる政党や政治家が、政権交代を目的に集まって構えた政党であり、与党となった今では、政権維持の為だけに政党の体を成している、言わば、はりぼての党だ。
政権を取るまでは、2大政党制を目指すとしたリベラルな看板を掲げてはいたものの、その実態は左右ごちゃまぜの翼賛政党であり、特に政権交代以降の外交、経済の両政策の迷走振りや、親小沢、反小沢の不毛な党内対立など、民主党の体質をよく現す事柄には枚挙にいとまが無い。
今回の閣僚人事を見ても、民主党体制を維持する為だけの組閣でしかなく、国民目線はおろか、政治的にもなんら一貫性の無い政権である事は一目瞭然だ。
そもそも、新自由主義者と増税主義者が党内のみならず閣内に存在している政権など、本来ありえない話であり、それこそ、党内融和などという言葉が平然と飛び交う政党なぞ、もはや政党としての意義を失っていると言わざるを得ない。
マニフェストを掲げて政権を取った以上、現実路線や妥協路線への政策転換を図るのであれば国民に信を問うか、そもそも意見が異なるのであれば党内を解体して、再編するのが本筋であるはずだ。
しかし民主党は、毎度の党首交代によって、党の本質的な問題点をうやむやにし、その責任を国民の目から逸らし続けているのだ。
そして今尚、そのような政党が、与党であり続けているのは、もはや異常事態としか言いようがない。
いずれにしても、様々な政治思想を抱えた翼賛内閣では、詰まるところ打算内閣としかなりえず、結局は、霞ヶ関の意のままに硬直した政治体制が続いていくことになるのだ。

これは、かつての自民党政権時代の末期と同じ流れとも言えなくもないのだが、民主党の場合、自民党以上に党内の政治カラーが混沌としているだけに、あらゆる批判や軋轢を飲み込んでしまう、言わばブラックホールと化した政党となってしまっている。
したがって、野党からしてみれば、与党が翼賛政党であればあるほど、政治的な対立軸を打ち出す余地を奪われることとなり、自民党のように判りやすいほどに右極化していくか、公明党のように信者頼みになるしか、もはや野党としての存在感を示せなくなりつつあるのだ。
それこそ、社民党や、現実路線に転換中の共産党などは、既に民主党にその存在感を飲み込まれたと言っても過言ではない。

このような与野党の関係に陥ってしまっては、政策的な論戦が望める訳もなく、結局のところ、スキャンダル追求に終始する永田町劇場が繰り返されることになるだけなのだ。
特に、今回の閣僚人事では脇の甘そうな人材がゴロゴロしているだけに、恐らく国会では相当に無駄な時間を費やすことになるのであろう。
しかし、それとて、民主党政権の延命をアシストすることでしかなく、決して国民の利益に繋がるものではない。
本来、政治家や政党は政策の実行とその結果で評価されるべき存在であると思うのだが、硬直し混沌とした政治体制となった今、人格面だけでその評価が決まるほどに、日本の政治は落ちぶれてしまっているのだ。

だとするならば、政党は、一体なんの為に存在するのか?
現行の国政において、政党の意義を失っているということは、議会制民主主義そのものが破綻していることを意味するに等しい。
選挙制度改革以前に、政党の在り様を正すことが、まずもって行わなければならないことなのだ。

そして現在、そのような政党政治の機能不全によって、国民生活の不満を政治が受け止めることが出来ず、ナショナリズムに流れ始めようとしている。
例えば欧米で見られるような、多くの国民の受け皿となるべく、いわゆる中道左派の政党が存在していないことが、日本の右傾化、保守化に拍車を掛けているのだ。
このようなバランスを欠いた、日本の政治体制は、更なる社会不安を招くことでしかない。
一刻も早く、あるべき政党政治を確立しなければならないのだ。

しかし、残念ながら、野田政権下では、それが叶う事は無いであろう。
それこそ、党内融和の如く与野党融和を謀るべく、自民、公明の主張を体よく取り入れていくことで、与野党間の争点を薄め、その翼賛体質をより強めていく可能性が高いと思われる。
わざわざ大連立を組んで、利害の調整に明け暮れるよりも、政策の争点を打ち消して野党を弱体化に追い込む方が、民主党にとっては都合がいいのだ。
まさに、国民不在の政治を推し進めることとなるであろう。

せっかく菅、鳩山前総理の稚拙な政治センスでもって、国民目線の政治課題が浮き彫りになったものが、野田総理によって、泥で埋め戻されることになる。
しかも、今度の総理は、菅、鳩山よりは、まさに狸の如く国民の目を欺くのに長け、保守回帰を目指さんとする政治家なのだ。
早速、原発対応や復興増税に関して、ダブルスタンダードな動きも見せ始めており、彼らの思惑を決して見過ごしてはならない。
少なくとも、任期一杯まで野田総理は、政権維持の為に、したたかにあらゆる手段を講じてくるであろう。
当ブログでは、その動向を注意深く見ていくつもりだ。

最後に「政党」の意味を引用してこの稿を終わりにしたい。

【政党】
共通の政治的主義・主張をもつ者によって組織され、一定の政治的利益や政策の実現のために活動し、政権獲得をめざす集団。
(大辞泉より)
真の政党政治が来る日を切に望む。

nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:ニュース

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。