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政治利用の愚

政権に返り咲いてからというもの、安倍総理の政治利用と思しき発言や行動がやたら目に付いて仕方が無い。
長嶋、松井両元プロ野球選手を利用して読売グループに恩を売った、噴飯ものの国民栄誉賞の授与が最たる例だが、最近でも、救命行動によって起きた踏み切り事故の犠牲者に感謝状を贈るなど、政治とは直接関係の無い国民受けを狙った節操の無い政治パフォーマンスが続いている。

更に厄介なのは、皇室の政治利用だ。
安倍総理の肝いりで行われることになった主権回復の式典では天皇皇后両陛下を、そして、オリンピックの招致活動でも皇族を使い、伊勢神宮の式年遷宮の儀式では、私人と称して自ら参列するなど、もはや政教分離を無視した皇室や神事の政治利用も連発して行っている。
それこそ、東アジアからの反発はおろか、身内の宮内庁からもクレームが入る始末だ(笑)

加えてもうひとつ、政治利用に関連して、当ブログで無視する訳にはいかない発言が安倍総理の口から飛び出している。
それは、先月末にニューヨーク証券取引所を訪れた際に行われたスピーチだ。
その一部を引用してみる。

ゴードン・ゲッコー風に申し上げれば、世界経済回復のためには、3語で十分です。
「Buy my Abenomics」
ウォール街の皆様は、常に世界の半歩先を行く。ですから、今がチャンスです。
先日、サンクトペテルブルグで、オバマ大統領からエールをもらい、その後23時間かけてブエノスアイレスに飛びました。その結果、2020年のオリンピック・パラリンピックが、東京で開催されることとなりました。
49年前の東京オリンピックは、日本に高度成長時代をもたらしました。日本は、再び、7年後に向けて、大いなる高揚感の中にあります。あたかもそれは、ヤンキースタジアムにメタリカの「Enter Sandman」が鳴り響くがごとくです。もう結果は明らかです。
偉大なるクローザー、リベラ投手の長年の活躍に最大の敬意を表しつつ、私のスピーチをおわりたいと思います。


でもって、このスピーチに関しては、既にネットメディアを中心に様々な突っ込みが起きている。


「バイ・マイ・アベノミクス」 安倍首相、強気の演説 米紙の評価は?
【やり過ぎとの感想も】
首相はNYSEで、日本の技術力や成長戦略を語り、「Buy my Abenomics」(アベノミクスは『買い』だ)と述べて、積極的な投資を呼びかけた。
これは、1987年の映画「ウォール街」に登場するセリフのアレンジだ。実際、首相は、ゴードン・ゲッコー(映画の主人公)が金融界にカムバックしたときにように、「Iapan is back」(日本が帰ってきた)とも述べている。ただしゴードン・ゲッコーは、最後にインサイダー取引で逮捕される。日本経済をそれになぞらえたことは、菅官房長官が釈明に及ぶ事態を招いた。
首相は、翌26日の引退を目前にしたヤンキースのリベラ投手を引き合いに出し、「彼のカットボールのように、日本が本来持つ潜在力を発揮すれば、復活できる」と、日本経済の力強い回復をアピールした。
さらに、2020年東京オリンピックへの期待を、同投手がハードロックバンド「メタリカ」の「エンター・サンドマン」を入場曲に、観客から熱狂的に迎えられる様子に喩えた。
2013年9月30日 NewSphere


まぁ、当ブログとしては、まさか、安倍総理の口から当ブログ名の所以でもある「メタリカ」の名が飛び出したことに反応しない訳にはいかない(笑)

反体制色が濃いオリバーストーン監督によって、ウォール街の拝金主義者として描かれているゲッコーの言葉を引用して、アベノミクスを自ら喧伝したかと思えば、これまた音楽業界内でも極めて権利意識の強いメタリカの曲でもって、スピーチを締めくくるとは、世界の金融関係者を前にして、これ以上滑稽な話はないだろう。
決してユーモアやジョークなどではなく、皮肉や風刺だと受け取られても仕方の無いスピーチなのだ。
即ち、安倍総理はウォール街という映画を見たことも無ければ、オリバーストーン監督が、どういった人物なのかも知りもせず、ご満悦でスピーチを行った可能性が極めて高い。
もちろん、メタリカがどういったアーティストなのか知るはずも無かろう。

一説には官邸お抱えのライターによって書かれたものとされているようだが、そんな事は関係無い。
首相が公の場で口にした途端、それは総理自身の言葉となるのだ。
即ち、安倍総理は、己の無知、無教養を全世界にアピールしただけでなく、無責任なスピーチを全世界に披露したことになりえるのだ。
野党の皆さんには、是非とも、今度の国会で、このスピーチの真意を問いただしてもらいたいところだね(笑)

しかし、こうやって並べて見てみると、安倍総理はいかにポピュリストの政治家になろうとしているのかがよく判る。
大衆受けを狙った発言を繰り返し、著名人や皇室を利用して自らの権力を高めようとするなど、まさにやりたい放題。
しかしながら、そういった無責任かつ他人の人気にあやかった稚拙な政治パフォーマンスは、いずれ綻びを晒すこととなり、我が身に跳ね返ってくることになるだろう。
ただし、その責を追うのは、安倍総理個人ではなく、我々国民であるということを忘れてはならない。

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