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オフレコ政治

前回のエントリーにて脇が甘いといった側から、ものの見事にスタートダッシュでコケで見せた野田政権。
その鉢呂前経産大臣の辞任騒動に関しては、色々と議論が出尽くした感もあるが、どうしても未だに腑に落ちない点が残っている。
それは、何故オフレコの話をメディアが書きたてるに至ったのか。
閣僚のオフレコ談話がそのまま世間に出たとしたのなら、政権側からすれば由々しき事態と言えるはずだ。
にも関わらず、当の政権内からそれを指摘する声はほとんど聞かれない、唯一与党である輿石幹事長が物申したのみで、大臣の首をすげ替えることで首尾よく落着してしまっているのだ。
更に、辞任後の鉢呂前大臣自らが真相を語ろうとしないところが、より不可解な辞任劇であったことを際立たせている。
陰謀論などに加担する気など毛頭無いのだが、今回の顛末にはあまりに不透明な点が多く、どうにも気になるのだ。
この事は、大臣の発言内容の是非とはまったく別次元のものであり、今後の野田首相の政権運営に深く関わる、決して見過ごしてはならない出来事であると、当ブログでは考えている。

鉢呂前経産大臣 インタビュー詳報
東日本大震災で被災した東京電力福島第1原発周辺地域について「死の町」などと発言したことで引責辞任した鉢呂吉雄前経済産業相が19日までに産経新聞社の単独インタビューに応じた。

※以下抜粋

-鉢呂氏は記者に近づいたということだが

「近づいたってのも、そう言われるから。あなたたち、近い付いた、なすりつけたようなことを言われたから、そういう記憶はないということは言ったけどさ、その後。そこのところは、次の日だけども、記憶に、思い出してこないの。
だけども、一番、毎日新聞の朝刊は、毎日新聞の記者になすりつけたとか、つけちゃったぞとか、という趣旨の発言をしたと。
その生の言葉そのものでないもんだから、実際、どういう、放射能をうつしたとか、わけたとか、ほら放射能とか、それぞれだいぶ違うことになっているもんだから、放射能をつけてしまったぞ、とか言ったら、そのぐらいまで言ったら、記憶まったくないわけでもないが、『ほら、放射能』と読売が書いているのが一番(当たっている)、僕は、そう言ったら記憶に残らないと思うが、放射能を分けるとか、つけるとか、僕にはないんだけどね、言葉の感覚として…」

-では記者団に対してどういう発言をしたのか

 「そこが記憶ないんですよ。その、はっきりいって…」

2011年9月19日(産経ニュース)

一説には、マスコミの横暴だとする論調も数多く見受けられるようだが、そう考えるのはあまりに安直だ。
仮に、これを記者クラブから現政権に対する圧力と解釈するならば、政権サイドからもっと反発があってしかるべきだと考えられるのだが、そういった動きはほとんど聞かれない。
少なくとも、オフレコの談話をそのまま記事にするということは、そこに何かしらの政治的な判断が伴う訳で、一介の通信社が独断で行うとは到底考えにくい。
察するに、記者クラブと官邸なり政権サイドとの間で、なんらかの駆け引きがあったと考える方が、自然なのではないだろうか。

ちなみに、似たような形で、前松本復興大臣のオフレコ発言の映像がそのまま使われて、辞任に至ったケースもあったが、あれは、公式の場の取材で、しかも発言後に大臣がオフレコ扱いにするようマスコミに要請(強要)したものであり、今回のケースとは、事情がまるっきり違うと考える。
むしろあの時でさえ、オフレコ要請に反発したのは地元の放送局だけで、大手メディアはオフレコ要請に従っているのだ。
尚更、今回のオフレコが表に出てきたことが、奇妙に写ってしまう。
鉢呂前大臣の発言は偶発的なものだったにしろ、後任の人選を考えると、反原発の流れを封じ込めるタイミングに使われたとする憶測も、あながち否定できないのだ。

民主党と言えば、元々記者クラブ制度を開放するなどの情報公開を行うと、国民に訴えていた政党だ。
しかしながら、一部では公開されるケースも出てくるようになったものの、本来訴えていた情報公開とは程遠いのが現状であり、結局、記者クラブの閉鎖性は存続し、オフレコの慣習も残ったまま今に至っており、今回の辞任劇は、情報公開とは正反対のそうした古い体質の中で繰り広げられたことになる。
情緒的な話題が先行し、事の真相が明らかになることもなく大臣が交代したのも、そうした体質の成せる技なのだ。
いくらインターネットで情報化社会が進んだといっても、こと政治報道における一次ソースの大半は、大手メディアから発信されるものであり、我々はそれを準拠するしか他はないのだ。
しかし、メディアと政権の互助関係が続く限り、報道内容の客観性や公共性が損なわれる恐れが常に付きまとい、真相が覆い隠される危険を孕んでいることを、忘れてはならない。
野田政権下ではこのようなメディアとの相互関係が、より強まると当ブログでは考えており、その報道内容を、注意深く精査していく必要があると考えている。

政治において、国民の知る権利を奪うということは、民主主義を否定するということなのだ。
情報公開を行うつもりが無いのなら、民主党は即刻政権から降りてもらいたい。

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コメント 1

朱の盤

その通り!
by 朱の盤 (2011-09-25 19:23) 

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