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金は天下の回り物

偶然にも1週間の間にあった、まさに今の日本を象徴するようなあまりに対極的なニュース。

日本の富裕層360万人世界2位 資産8千万以上
 スイスの金融大手クレディ・スイスが22日発表した2012年の世界の富裕層数ランキングによると、純資産100万ドル(約8千万円)以上を持つ富裕層は日本に約360万人おり、米国に次いで2位だった。前年より約8万3千人増え、17年には540万人に拡大すると予測している。  ランキングは、1位の米国が1102万3千人、2位の日本が358万1千人、3位のフランスが228万4千人。  一方、5千万ドル(約40億円)以上の純資産を持つ超富裕層は、日本が約3400人で4位。1位は約3万8千人の米国が断トツで、2位は経済成長で躍進した中国の約4700人、3位はドイツだった。
2012年10月22日 共同通信


生活保護受給者、過去最多の212万人
 全国の生活保護の受給者は7月時点で、212万4669人となったことが24日、厚生労働省の集計で分かった。前月比9192人の増加。世帯数も同6989増の154万9773世帯で、いずれも過去最多を更新した。雇用情勢が厳しいことなどから、高齢者世帯のほか、失業などを理由とした働ける世代の受給増加が目立つ。  生活保護受給者は昨年7月に過去最多となって以降、増加傾向が続いている。
2012年10月24日 日本経済新聞

そんな訳で、サラリーマンの平均年収が下がり続ける一方で、大企業の内部留保は年々増えていたりと、まさに格差が拡大する社会に向かって着々と突き進んでいる我が日本。

不況という二文字が飛び交う中、我々庶民が貯金を切り崩すような生活を強いられる一方で、たんまりとお金を貯め込んでいる連中がいるって話なのだ。
即ち、景気が悪いからといって、日本全体が経済的に逼迫している訳ではないんだよね。
先のニュースが示しているように、庶民の所得や資産が減っちゃった分を、一部の人達や企業が蓄財しているに過ぎないだけで、日本全体で考えれば、まだまだお金持ちの国「ニッポン」と言えてしまうのだ。

極論を言うと、資本主義経済とは、市場、即ち日本という財布の中にあるお金を巡って、皆で奪い合いをしているだけに過ぎず、要は誰かが儲ければ、その分、必ず誰かが損を招くということでしかない。
つまり、資本主義経済の宿命として、全員が全員、儲かるなんて事は、実際には起こりえないって話なのだ。

そういえば、橋下大阪市長の口上で「頑張った人が報われる社会」なんてのもあるけど、一見、もっともらしい事を言っているように思えるけど、こと経済においては、例え皆が頑張ったとしても、お金という限られた牌の奪い合いでは、その牌を充分に手に出来ない人が必ず現れるように出来ている訳で、残念ながら額面通りとはいかないのだ。
まして、一部の人々が富という牌を独占すればするほど、その他大勢の人達がよりその牌を手にすることが出来なくなってしまう。
即ち、それが今の日本の現状なのだと言える。

資本主義経済とは、常に利益を追求することが求められ、経済合理性に基づいて進化しようとするアメーバのようなものだ。
そして、その進化は、時として社会という存在を無視してまで暴走しかねない性質を持ち合わせている。
なんせ、汗水流して稼いだ1万円だろうが、くすねた1万円だろうが、1万円の価値はどちらも同じだからね。
だからこそ、社会の秩序を保ちながら、資本主義経済を維持し、機能させていくことが、政治の役割として課させられていることになるのだけど、今の日本は、政治がその責任を果たしているようには到底思えない。
というか、むしろ悪化させることに手を貸していると言ってもいいぐらいだ。

結局のところ、やれ金融を緩和をしようが、やれ法人税を引き下げようが、最終的には資産家や大企業を利する政策にしかならないことに、いい加減気づくべきだ。
デフレにしたって、一見庶民の懐にとってはありがたいように思えるけど、貨幣価値が上がるということは、お金を溜め込んでいる資産家や大企業の方が、よっぽど笑いが止まらないって話なのだ。
単純に考えても、お金を持っているところが使わなければ、経済が硬直化するのは当たり前の話なのに、これでは益々金持がより金持になっていくことになる。
こんな日本になってしまったのも、自らの便宜を計る為に、国民の代弁者のふりをして、大企業や資産家を太らせることに腐心する政治家の存在無くして語ることはできない。
政界や財界の人間達は、果たして、本当に日本の将来を考えていると言えるのだろうか。


思うに、景気が良くなったからと言って、別に国民の資産が増えるという訳ではない。
日本という市場にあるお金は一定量なので、景気が良くなろうとも、皆のお金が増えることはないのだ。
景気が良くなるという事は、即ちお金が増えるのではなく、お金の流れが速くなることだと理解する方が正しい。
消費と生産のサイクルが速くなることで、お金を使っても、収入が途絶えないというスパイラルに入っていることが、好景気の正体なのだと思う。
逆に、景気が悪くなるということは、消費も生産も停滞して、お金の流れが鈍化する状態を指すことであり、まさに今の日本が置かれている状況そのものということになる。
更に言えば、その実体は、まさにダムのように大企業や資産家がお金を貯め続け、国民生活の場である下流が干上がっている状態なのだ。
もしくは、お腹周りだけはやたらに脂肪がついて、手足はガリガリの超不健康体と言ったところだろうか。
決して日本が貧しくなっている訳ではなく、バランスを欠いているのが、今の日本経済の状態なんだと考えてよいと思う。

じゃぁ、景気を良くするにはどうしたらよいのか。

なんのことはない。
実に簡単な話、ダムの水を開放してやればよい。
脂肪を燃やすダイエットをしてやればよい。
要は、バランスの良い循環が起きるように滞った箇所の代謝を促してやればよいだけの話なのだ。

即ち、大企業や資産家が貯め込んだお金を、お金の少ないところに移してやるだけでいい。
でもって、彼らの経済合理性がこれを拒否するのであれば、国が代わりに移し替えてやればいい。
つまり、税金でもって、移し替える政策をすればよいという話。
いわゆる「所得の移転」ってやつだ。

はっきり言って、今の日本経済の処方箋は、それ以外の方法はないところまで来ていると思っている。
しかし、消費税の増税を断行する一方で、法人税の引き下げを訴えるなど、所得の移転と逆行する政策を推し進めようとする政治家が大勢を占めている現状は、極めて悲劇的としか言いようがない。
今の政界や財界を守ろうとする行為は、日本経済の崩壊を招くだけで、言うなれば、蛇が自分の尻尾を食べているようなものなのだ。
法人税にしろ所得税にしろ、今やるべき事は、累進化を推し進めて、大企業が貯め込んだお金を中小企業への補助に回し、資産家のお金を低所得者への社会保障に充てるなど、応分負担となるべく所得移転を計る政策以外にやるべきことはないのだ。

でもって、こういう話になると、大企業が海外に逃げてしまうといった批判的な意見をよく耳にするのだけど、海外に行きたい企業は大いにそうすればいいと思う。
一時的には苦しくなるかもしれないけど、そもそも硬直化している大企業がいなくなれば、その分、新陳代謝が進むことになるだけで、その結果、新興産業や、新たなイノベーションが生まれやすい土壌が出来上がり、投資も促進され、むしろ好都合なくらいだ(笑)

実のらない巨木に水をやり続けている限り、新しい苗木が育つことなど、あろうはずもない。
巨木を生きながらえさせている間に、日本経済が崩壊してしまっても構わないというのだろうか。
そんな巨木は、早く土に返してあげて、新しい土壌を作り、耕し、そして種を蒔き、育てていくしかないのだ。
枯れた巨木だらけの森に、豊かな実りが訪れることは決してはないのだから。

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