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民意無き選挙

もう少し粘るかなぁと思っていたけど、自民党の嘘つき呼ばわり作戦が奏効したのか、野田総理が突如解散を決めた。
とはいえ、解散は総理大臣の決断ひとつで決められる訳で、当然、野田総理なりの計算があっての、あの党首会談での突然の解散発言なのだと思う。
恐らくは、民主党内に燻りつつあった野田降ろしの動きを牽制したかったのと、次期選挙を、民主対自民の構図に作り上げようとする狙いがあったように思われる。
つまり別の角度から見れば、都知事の仕事を放り出して第三極のキャスティングボードを握らんとする石原慎太郎の動きに、敏感に反応したとも言えそうだ。
実際、突然の解散で一番慌てているように見えるのが、石原慎太郎な訳で、まさに暴走老人の名の通り、なりふり構わず第三極を作り上げようと躍起になっている。

維新に太陽の党が合流 1次公認の47人を発表
 日本維新の会と太陽の党は17日、基本政策について合意ができたとして合併を正式に決めた。党名は日本維新の会のままとし、太陽の党共同代表の石原慎太郎前東京都知事が代表に、維新代表の橋下徹大阪市長は代表代行にそれぞれ就く。
2012年11月17日 朝日新聞

極右政治家と新自由主義者の相性は、必ずしも一致するとは限らない訳で、拙速な合流は、よくある芸能人のスピード離婚のように破綻も早く訪れるんじゃなかろうかと予想する(笑)
まぁ、いくら政策が一致したといっても、根底にある政治理念が一致している訳ではないので、いずれ歪が出てくることは時間の問題だろうね。
下手すりゃ、選挙まで持たないかも?(笑)
仮に、第三極の流れを作り上げたところで、相次いで離党者が出ている民主党の末路を見てればわかるように、野合によって生まれた政党が上手くいくはずもないのは火を見るよりも明らかな話で、さすがに、有権者もそう何度も引っ掛からないと思うのだけど、果たして結果はどうなるのだろう?

もとい、そんな心配より今度の選挙で一番問題なのは、有権者が、これからの日本や生活を良くしていくために、いくら熟慮を重ねて投票しようと思っていても、それに見あうだけの既成政党が存在していないという、偏った日本の政治情勢の方だ。
日本が右傾化してきたと言われてはいるものの、例えば、反原発デモなど、左派的な考え方を持つ人々も多数存在しており、各種の世論調査で支持政党を持たない有権者の数が増加していることでも明らかなように、国民ではなく、実は政治家だけが右傾化していると言った方が的を得ているのではないだろうか。
前回の選挙では、民主党が中道左派の受け皿として、政権交代をなしえた訳なんだけど、次第に民主党が右派色を強めてきたことで、ドミノ式のように、自民党がより右的な政治色を強めざるを得なくなったというのが、右傾化の実情なのだと思う。
そこへもって来て、更に過激な政治思想を持つ、石原慎太郎や橋下徹が、極右的な言動で脚光を浴びているというのが、今の政治勢力の大まかな構図と言えよう。
そういった意味でも、左派政権に対する有権者の失望を招いた民主党の罪は果てしなく大きいと言わざるをえない。
にも拘らず、民主党を未だ左派政党だと思いこんでいる大勢の政治オンチがいたりする訳で、左派政治の誤ったイメージを抱えたまま選挙に突入してしまうこと自体が、この国の政治の劣化を物語っている。
つまりは、最初からわかりきった事ではあったけど、民主党は、政権交代のみを目的に、左派政党の仮面を被った野合でしかなかったということなのだ。
加えて言うなれば、今まさに、第三極を目指して野合しようとしている維新の会もまた、民主党とさして変わらない野合による政党へと変貌を遂げつつあり、もはや皮肉としか言いようがない事態となっている(笑)

そんな訳で、試しに、現在の政党の分布図を作ってみたところ、政党の大半が右派に収まることとなった。
唯一、共産党が左派の地位を築き続けているのものの、未だに古いイデオロギーを手放そうとはせず、有権者にとって現実的な選択肢とはなりえていない。
方や、本来であれば、社民党が、左派政党として多くの有権者の受け皿となりえるはずなのだけど、現状は、福島党首の無能っぷりが際立つだけの、民意を集めることの出来ない、さえない政党に成り下がってしまっている有様だ。
そこで、小沢一郎率いる国民の生活第一の登場となるのだけど、ここぞとばかりに空席を狙うかの如く、左派的な政策を語ってはいるものの、理念ではなく手段として左派色を打ち出しているのが見え見えなだけに、有権者の信頼を得ることは、まずもってありえないと断言できる。
というように、日本が右傾化に突き進む一因には、既存の左派政党の体たらくが招いた左派の政治勢力の空洞化が、大きく影響しているとも言え、分布図でも示したように、今の日本は極めてバランスを欠いた末期的な政治状況となっているのだ。

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ヨーロッパでは、富裕税が取り沙汰され、アメリカオバマ大統領も、中間所得者への減税を打ち出して再戦を果たすなど、長引く不況に際して左派政権が、世界の政治の潮流となっていく中で、何故だか日本の政治だけは逆の方向へシフトしようとしている。
しかしそれは、必ずしも国民の望む政治と一致しているとは、どう考えても思えないのだ。
例えば、野田総理や橋下大阪市長の政治手法を、ポピュリズムと揶揄する批判があったけども、そもそも民主党にしろ維新の会にしろ、ポピュリズムと言えるほどの国政での支持率を集めてはいない。
つまりそれは、民意が別の所にあることを意味しているのではないかと考えられる。

消費税ひとつを例に取っても、増税するのであれば、大きな政府を標榜することになるはずなのに、やれ公務員削減や公共サービスの民営化など、なぜか小さな政府を目指すような矛盾した政策を掲げる政党ばかりで呆れる他ない。
どちらも庶民にしわ寄せがくる政策でしかなく、彼らを支持するということは、庶民が自らの手で自分達の首を締めるようなものなのだ。
そもそも消費税による増税にしても、民主党がマニフェストを破り、国民生活に関わる重要な税制法案にも拘らず、一切の民意を無視して、民自公の三党合意で勝手に進めて決められたものだ。
しかし、多くの政党は、成立済みの法案としてやり過ごそうとしている。
野田総理が、出来るだけ解散を先送りにしようとしたのも、そして、今度の選挙を民主対自民の対立の構図に見せかけようとしているのも、元はと言えば、消費税を選挙の争点から遠ざけたいとする思惑が作用しているのは明らかだ。
即ち、左派の政治勢力の空洞化はおろか、消費税を争点としない選挙戦が繰り広げられるような事態となれば、もはや民意を反映した選挙なぞ、望めるはずも無い。

政治課題が山積している状況だけに、様々な選挙の争点が飛び交うことになるのは必至だが、少なくとも、消費税や増税を選挙の争点にしないような政党や政治家を当選させることだけは、絶対に避けなければならない。
さもなければ、民意を無視した政治の暴走はどこまでも続くことになるのだ。

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岐阜郎

はじめまして。
民主党が政権獲得後に先ずすべきことは公職選挙法を改正して「棄権票は第一党(与党)候補者並びに比例票は第一党に投票したものと見做し得票とする」とすべきだったと思います。きっと民主党政権に支持を寄せているからこそ棄権をした訳で彼らの気持ちを汲む政治の反映に繋がるからです。
 また民意を得た民主党政権、即ち民主主義を守るためにも政権を批判した政党団体・報道機関・個人に対し解散・無期身柄の拘束、資産の没収、密告の奨励などをする為の法整備・機関創設をして民意を保護する仕組み作りが大切だったと思われます。民意を得た政権を批判することこそアルカイダと同じテロリストの所業そのものなのですから。
 またマニフェスト違反という批判もマニフェストとは政権交代のツールの一つに過ぎないのですから、政権交代と共に役割を終えたのであるからその批判自体が論理的にムリがある筈です。
野党時代のマニフェストであり、与党時代に言ったものではないのですから、マニフェスト違反と言われる筋合いはないでしょう。また「騙された」という言葉も選挙の際にはどんな政党もできもしないことをさも簡単にできるかのように云うのですから、それを見極められなかった有権者の責任転嫁に過ぎず、一番卑怯な所業です。
 また税金というものも「税金を納めたい人が納めたい金額を納めればよい」とすべきでしょう。そうすれば、鳩山元総理も巨額こども手当脱税問題でも批判されずに済みました。また庶民も税金を納めなくて済みます。政権批判をした、即ち民主主義の敵として彼らから資産を根こそぎ奪えばいいのです。テロリストからどんどん資産を没収しそれを国の予算に廻す仕組みを作り、真の自由で民主的な社会が誕生しえたと思うと誠に残念でなりません。
by 岐阜郎 (2013-07-05 21:38) 

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