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紫陽花革命とジャスミン革命

官邸前4万5000人の衝撃 野田首相にトドメ刺す市民デモ地獄
 スゴいことになってきた。先週末の22日夜、首相官邸前で行われた反原発デモのことだ。夕方から始まった抗議活動に、仕事を終えた一般市民が次から次に参加。4万5000人の巨大なうねりが官邸を包囲し、「原発再稼働反対!」「野田やめろ!」の大合唱が永田町を揺るがしたのだ。  実は、この官邸前デモは3月にスタートして以来、毎週実施されてきた。ツイッターやフェイスブックで情報が拡散。回を重ねるごとに参加者が増え、今回、ついに4万5000人――。政治に無関心だった若者たちも熱くなっている。
2012年6月25日 日刊ゲンダイネット

紫陽花革命と言うんだそうな。
もちろん動機そのものを否定するつもりはないし、主張には共感するところも多いのだけど、なんとなく違和感を感じる部分も見受けられるのだが、果たしてどうだろう。
少なくとも、あの中東で起きたようなジャスミン革命とは、似て非なる抗議デモだと思う。
むしろ、フジテレビの偏向放送に対して起きたデモと、主張こそ全く異なるものの、同質なものを感じたというのが、正直なところだ。
でもって、それを示しているかのように、両デモ共に、大手メディアが取り上げなかったことも、単なる偶然ではなかったように思う。

いずれも、ツイッターやフェイスブックなど、ネットを介して集まった人々によって行われたデモという点では、ジャスミン革命のそれと似ているようにも思えるけど、その実態はかなり違っていたのではないだろうか。
というのも、そもそも、近年行われるデモ活動というのは、ただ単に人々が集まって抗議することだけで、完結するという訳ではない。
むしろ、その抗議活動をいかにメディアで露出させるかが重要であり、いくらデモで人が集まったところで、世間に知れ渡ること無く終わってしまえば、必ずしもデモが成功したとは言えないのだ。
つまり、メディアを通じた形で、多くの人々の耳目に触れる機会を作り、なんらかの影響を与えることが出来てこそ、デモ活動の目的を果たしたと言える。
即ち、そのためには、用意周到な広報のプランニングが必要になるであろうし、当然、メディアの根回しも必要になってくると考えられるのだが、今回のデモを見ていると、果たしてそういった動きがどこまで出来ていたのかは、甚だ疑問に感じると言わざるを得ない。

そもそもNHKが取り上げないのも、公共放送とはいえ、いちいち国会の承認を得なければ予算がもらえないNHKと国との関係性をもってすれば、国策への反対運動を積極的に報じる訳にいかないのも、ちょいと考えてみると想像できることだ。
民間メディアはもちろん、総じて彼らは視聴者の利益よりも、彼ら自身の利益を優先するのは当たり前の話であり、そんなメディアの本質を知らずして、今回のデモの扱いに関するメディア報道を批判したところで、あまり意味は無いと思う。
むしろ、そういったメディアの本質を利用するぐらいの、したたかなデモを企画しなくてどうすんのって話なのだ。

ちなみに、エジプトのジャスミン革命のデモが行われていたその裏で、東ヨーロッパのサッカーサポーターからなる活動家がデモ活動を支援していたとする話があるのをご存知だろうか。
エジプトのデモが多数の参加者を集めながらも、長期間に渡って終始平和的に行われ、抗議デモを成功へと導いた裏には、彼らの存在がなければ、なしえなかったと言われているのだ。

つまり、デモ活動には、実はそれなりの事前準備も含めた戦略が必要なのだと言える。
ところが、今回の紫陽花革命とやらには、主催者側にそう言った動きの痕跡がほとんど見られず、残念ながら、さほど計画性の無い、単なるイベントといった趣しか感じられない。
デモの機運を国民運動へと昇華させていくためには、継続性と規模の拡大を見据えた戦略が必要とされるのだが、特に戦略もなく、このまま尻すぼみに終わってしまうのだとすれば、むしろ反原発の機運を下火にさせかねない恐れがあることを、主催者や参加者達は、自覚しておかなければならないと思う。
同様に、一方で、更なる盛り上がりを見せた場合には、一部が暴徒化するなど予想だにしない展開も孕んでいることを注意しなければいけないのだ。
そういった意味では、メディアや国の対応も含めて、今週金曜日にも予定されている次回のデモが、今後を占うひとつターニングポイントになるのかもしれない。

あと今回のデモを見ていて特に思うのは、再稼動反対というメッセージだけでは、あまりに説得力が乏し過ぎる点だ。
原発を動かさない方がいいのは、ほとんどの国民が思っていることで、問題は、原発を動かさない場合の具体的な対応策なのであって、いくら原発反対と声高に叫んだとしても、それは単なる感情的なメッセージでしかなく、それだけで国民的な支持を集めるられるほど、簡単な事態ではない。
尚更、その先の計画性が問われるデモなのだということを、自覚して行わなければ、成果は得られないであろう。

一連のジャスミン革命が、ツイッターやフェイスブックによって起きた革命だと言われてはいるけど、それらはあくまで手段の一つでしかない。
要は、デモが成功で終わるのかどうかは、手段ではなく目的、即ちデモに関わる人達の意識にかかっていることを、忘れちゃいかんと思うのだ。

いずれにしても、これまでの国内で起こってきた既存の抗議デモとは、一線を画しているデモな訳で、故に国に対して、それなりのインパクトとプレッシャーを与えている事だけは間違いないと思うし、今後、沈静化してしまうのか、それとも更なる盛り上がりを見せる展開となるのか、しばらく成り行きを見ていきたいと思う。

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