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始めの一歩 6月29日反原発デモにて

大飯原発「再稼働反対」 市民ら官邸囲む
 関西電力大飯原発3号機(福井県おおい町)の原子炉起動を7月1日に控え、原発再稼働に反対する市民による抗議行動が29日夕、首相官邸周辺で繰り広げられた。「再稼働反対、再稼働反対」。地中から湧き上がるような声が官邸を包んだ。  抗議行動は、脱原発グループを中心に、短文投稿サイトのツイッターやフェイスブックなどを通じた呼び掛けで市民らが集結。毎週金曜日夕にあり、再稼働が政治課題に上り始めた6月は回を重ねるごとに増え、この日主催者側は20万人と発表、 警視庁は2万人弱としている。
 参加者も子連れや中高年まで年齢層も幅広く、太鼓をたたく人、獅子舞の格好で踊る人も。官邸前から霞が関の官庁街まで1キロ近くにわたって路上に人々があふれた。
2012年6月29日 共同通信

ということで、前回のエントリーの通り、デモの成り行きを見届けるべく、実際にこの目で確かめに行ってきた。
で、いきなり最前線の国会議事堂前に出てしまうのもどうかと思い、霞ヶ関方面から徐々に近づいてみることに。

 6.29緊急!大飯原発再稼動決定を撤回せよ!首相官邸前抗議
 【日時】6/29(金)18:00〜20:00 予定
 【場所】首相官邸前(国会記者会館前、国会議事堂前駅3番出口出てすぐ)
 【呼びかけ】首都圏反原発連合有志

18時過ぎに現地に着いて財務省の前を通ってみると、既に抗議の人達が列をなしてシュプレヒコールを上げていた。
この辺りは、メインの抗議行動の場所ではなかったと思うが、それでも、かなりの人数で埋まっていたように思う。
やがて、メインルートでもある内閣府付近に近づくと、予定の周回ルートは溢れんばかりの人達で埋め尽くされていた。
更に奥に入って、一番のメインステージでもあろう首相官邸前まで来ると、さすがに、かなりの熱気と大勢の人達で騒然としていたものの、それでも最低限の秩序は保たれ、抗議行動も平和的に行われていたように思う。

demo1.jpg
デモの周回ルートは大勢の参加者で埋め尽くされていた

デモそのものは、いわゆる拡声器を使って、いちにのさんでシュプレヒコールを上げるようなステレオタイプなものではなく、参加者が、それぞれ思い思いのメッセージや声を上げていたりと、かなり自由な空気が漂っていて雰囲気はかなり良かった。
その分、抗議行動としての統一性やまとまりは感じられないものの、むしろ皆が好き勝手にメッセージを発する事で、ごく普通の市民が参加している趣があり、従来のデモには見られない開放的な様子が伺えた。

周囲の状況としては、中継車が出るようなテレビ取材などは見当たらなかったが、かなりのプレス関係思しき人達と、ヘリコプターが4~5機上空を飛んでいた。
その他、場所がら一般の人出が多くないエリアというのもあってか、運営側の誘導も、きちんと動線を確保するなど、それなりにコントロールできていたように思えたし、警察の方も割と協力的な姿勢で対応していたのが印象的だった。

demo2.jpg
デモ上空には、4~5機のヘリコプターの姿も

全体的な感じとしては、もちろん、その筋の活動家っぽい人も散見されるものの、むしろ大半は普通の人々、即ち、カップルに子供連れ、学生っぽい人から、それこそ近所のオバサンが井戸端会議で集まってきているような感じまで、とにかく、バラエティに富んだ参加者が多く、原発に対する市民感覚が色濃く反映されている感じがした。
唯一の懸念は、これ以上の人数が集まった時に、永田町(デモ会場)付近の道路事情を考えると、キャパシティの限界を超えて大混乱に結びつく恐れがあること。
今回、メディアがそれなりにデモを報じていることから、次週以降の参加者が膨れ上がることは確実だと思われ、何かしらの対応が求められることにはなりそうだ。
主催者の20万人という動員の発表には、はっきり言って、このデモをむしろ貶めてしまうような公表にしか思えず、大いに疑問を感じるのだが、少なくとも2~3万人程度は集まっていたと思われる。
よって、このままいけば、次週以降は活動場所を複数にするか広範囲に分散させる必要はありそうだ。

元々は、ツイッターやフェイスブックの呼びかけで始まったとされる今回の抗議デモ。
ネット特有の突発的な要素を孕んでいるためか、主催者を含め、従来のデモと比べて、計画性や組織的な動きは乏しいものの、その分、誰でも自由にデモに参加できる開放的な効果をもたらしていて、新しいデモの形を見た思いがした。
当初、その計画性の無さから、単なる抗議イベントの一つとして、一過性のもので終わるかに思われたのだが、まさに市民感覚で表現できる抗議デモとしての側面が、より多くの市民の関心を引き付けて、デモそものもが一人歩きを始め、その規模を拡大させているように感じている。
今回、メディアがかなりの反応を示したのも、このデモが、市民権を得たデモに変貌しつつあることを意味しているのではないだろうか。
したがって、既にその兆候も見られ始めているが、このようなデモの動きは、その特性からして、一気に全国規模へと加速するのではないかと思っている。
ひょっとすると、国民運動にまで発展するデモになるかもしれない可能性を、率直に感じているところだ。

今回メディアが取り上げた事で、もはや政府も完全無視という訳にはいかない段階に入ったと思われる。
デモが理性的に行われているというのもあって、今のところ警察の対応も協力的(ちなみに公安らしき人物も見かけられた)で、現時点では政府側も、言わばガス抜きの抗議デモとして許容している向きを感じるが、今後、参加者が増えていった場合、更には全国規模へと拡大していった場合に、どのような対応を取っていくのだろうか。
まずは、今後の警察含めたデモに対する警備体制の行方は注目しておきたい。

一方で、デモの方も、規模が大きくなるにつれ、秩序を失う恐れも出てくることから、慎重な行動が必要となってくると思われる。
既に、主催者の手を離れて、デモ自体が一人歩きを始め出した感が強く、今後の展開が読みにくくなってきており、この抗議デモが、社会にどう作用していくのかは、まったくもって未知数だ。
従来の組織運営されたデモと違って、大きな発展性を秘めているのと同時に、流れが反転する場合もありえるし、また、色々な方面で政治的に利用される恐れも懸念され、非常に不安定で危うさを持ち合わせていることも踏まえておかなければいけないと思う。
よって、反原発の機運を下火にさせないためにも、シンプルで平和的な抗議行動に徹して、全国規模へと広がっていくことを切に願いたい。

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首相官邸前は、さすがに騒然としていた。デモに参加する国会議員の姿もチラホラあった

このデモの存在を知った当初は、デモを行うことより、脱原発のプロセスを皆で考え、その答えを導き出すシチュエーションをいかに作るかということが重要だと考えていたし、今もその考えはもちろん変わってはいない。
加えて、単なる市民感情を表現しているデモなだけで、その計画性の無さから、建設的な流れに発展するとは思えず、個人的にはかなり懐疑的な見方もしていた。
しかし、実際に今回の反原発デモを目の当たりにして、その考えを改めなければいけないとの思いに至っている。
恐らく、これだけ「反原発」の思いを誰もが自由に表現できるデモは、他のデモではありえないのではないだろうか。
組織の大きな思惑も無く、まるでお祭りに参加するが如く、年齢も性別も、職業も社会的立場も、思想も考え方も、あらゆる人達が分け隔て無く参加出来るのも、ツイッターやフェイスブックのような新しいコミュニティの繋がりをきっかけにして、反原発の気持ちを共有することを可能にしたデモだからなんだと思う。
国民の気持ちを無視して、一方的に再稼動を推し進めようする政府に対して、反原発の意思を明確に伝えるのには、今回のデモのようなシンプルで幅広い連帯感を伴ったメッセージの方が、より効果的なのかもしれない。
今は、政府にこのような大きなプレッシャーを与え続け、反原発への最初の一歩を示すことが、何よりも重要なのだと思う。
結局、人の心を揺り動かすのは、人の心でしかない、今回のデモを見て、そんなシンプルな気持ちに立ち返った気がする。

さて、政府は今後どのような対応をとってくるのだろうか。
このデモを無視し続けたり、はたまた、否定もしくは排除するような動きを見せるようなことが起きれば、消費税の問題など、政府に対する不平不満と結びついた反体制運動へ転化する可能性も秘めており、今回のデモの対応を誤れば、野田政権にとっては、命取りになりかねない展開も起こりえると思う。
もちろん、それはそれで願ったり叶ったりでもあるけれど...
いずれにせよ、次週のデモの動きによっては、予断を許さない状況もありえるかもしれない。

今の現時点で、反原発の民意を示す方法が無い以上、このデモ運動に微力ながら協力していきたいと思う。
そして、このデモが大きなうねりとなって、この国を動かす力になりえる可能性に大いなる期待をしたい。
その動きに少しでも加わることを願って、当ブログに書き記したつもりだ。

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