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アベノミクスが格差を増大させる

参院選までは右派色を潜めて、経済政策をアピールして乗りきろうという魂胆が見え見えの安倍総理。
ただし、領土問題に限っては相手のあることだけに、安倍総理の思惑通りに進むことはなさそうだね。
特に、尖閣諸島付近での中国の挑発行動は今後も続くことが予想され、対応次第では日本国内の右派層の反発を招いて足元を救われかねないかも。
稲田朋美を筆頭に、極右思想を持つ閣僚をちゃっかりと起用しているだけに、対中国や韓国における安倍総理のダブルスタンダードが、いつまで通用するかは時間の問題だろう。
そんな訳で、稲田センセの口元が滑らかになることにちょいと期待(笑)

ということからして、領土問題から国民の関心を逸らす為にも、経済政策をなんとしてでも推し進めていかなければならない安倍総理。
就任早々に株価が上昇に転じ、アベノミクスなる単語がもてはやされるなど、追い風が吹いているように見えるものの、そんなものは単なるご祝儀相場にしか過ぎない。
もとより、日銀を巻き込んでまでのインフレ政策でもって景気の浮揚を図るのというのだが、果たしてどうなることやら。

で、当ブログとしては、いわゆる、デフレ脱却そのものに異論を挟むつもりはないものの、仮に安倍総理のインフレ目標が達成されたとして、不況が改善される見込みは極めて低いと考える次第だ。

そもそも日本経済がデフレ不況に陥っているのは、格差が広がったことで、多くの庶民の所得が下がり、消費が冷え込んだことが大きな原因だと考えられている。
そこで、市場にお金を投入することでインフレを起こして、最終的に所得の金額を押し上げて景気を刺激しようというのが安倍総理の目論見なのだろうが、今の日本経済の仕組みでは、庶民の所得が上がる前にお金の流れがせき止められる可能性の方が高いと言わざるを得ない。
というのも、昨年のエントリーでも触れたように、不況にも拘らず、実は日本の大企業における内部留保や富裕層の資産は年々増えており、彼等がお金を溜め込んでしまうばかりに、庶民の台所が干上がってしまっているというのがデフレ不況の実態だからだ。
つまり、仮にインフレになったとしても、格差の川上に立つ側がお金を溜め込んで、川下が干上がっている限り、景気が良くなることはないのだ。

ではなぜ、彼らはお金を溜め込もうとするのか。
それは日本の経済成長に期待が持てず、投資をリスクと判断してしまうからではないだろうか。
皮肉なことに、弱体化の一途を辿る製造業が中心の経団連が財界を牛耳っている限り、製造業の利益を確保する為にあらゆる政治的圧力をかけ続けることになる訳で、即ち、それは新たな成長産業の機会を阻害していることにもなるのだ。
保身ばかりにかまける大企業が仕切っている硬直化した日本経済なぞに、果たして投資価値はあるのだろうか。

加えて、全く信用ならない医療や年金といった社会保障制度の影響も大きいと言えそうだ。
特に、中間所得者層の多くは、将来の不安に備えて、消費を抑えて貯蓄に回す傾向が強まっていると考えられる。
国や自分達の将来に不安を感じる社会保障制度の下では、蓄財に走るのも、そら当然の話だ。

百歩譲って、仮にインフレに転換出来たとしよう。
しかし保守化した大企業が、そう簡単に給与を引き上げるとは到底思えない。
むしろ、人件費を据え置いて一層の利益を確保しようとするのではないだろうか。
一方、投資家であれば、インフレを見越して、国内に投資するよりも外貨預金や外国債に投資する動きが強まることも考えられる。
要は、庶民の給料が上がるには程遠い話になってしまうということだ。
まぁそれでも、企業の売上げが上がれば、自ずと経営者と正社員の給料が上がる事にはなるだろう。
しかし、その一方で、経営者でも無ければ組合員でも無い派遣社員やフリーターのような非正規労働者だけは、置いてきぼりをくらう可能性がかなり高く、ただでさえ所得の低い彼らの収入が上がらなければ、インフレによる物価の上昇は、まさにに死活問題を意味することになるのだ。
逆に企業の側から考えてみた場合、派遣社員、フリーター、シングルマザー、年金や生活保護の受給者など、低所得者数の割合が年々増加していく中で、そう易々と物価を引き上げることが果たして出来るのだろうか?
それこそ、企業が値上げを抑えようとすれば、今度はその企業や従業員に負担がいく訳で、どちらにしても死活問題になる可能性だってあるのだ。
そもそも、インフレ政策を公言している政権が、生活保護の引き下げを行おうというのは、あまりにもつじつまの合わない話だ。
つまり、安倍政権がやろうとしていることは、低所得者層を犠牲にしてでも、経済を維持しようとする、強者を利する悪政にしかなりえないということなのだ。

景気の浮揚策は、ひとえに労働生産性と消費の両輪が上向く以外に術は無い。
今の日本に必要な事は、製造業を中心とする産業のヒエラルキーを守ることではなく、新たな労働市場や労働体系を構築することや、例えば、移民政策も含めた少子化問題の改善といった、労働と消費人口の増加を目指す施策を行う他ないのだが、安倍政権からは、そういった具体的な政策の話はほとんど聞こえてこない。
結局、「日本を取り戻す!」なぞと威勢のいいことを言っているが、安倍政権が取り戻そうとしているのは、景気ではなく旧来の利権構造でしかないということだ。
これまで日本経済を支えてきた製造業がグローバル化の波に乗り遅れて凋落していく中、雇用を守ることを大義名分に、これらの産業を政治力で存続させる事は、更なる日本経済の硬直化を招くことにしかならないだろう。

最後にインフレに関連した話をもうひとつだけ。
インフレがもたらす影響として円安が想定されるが、実際に円安が進んだ場合、輸入に頼っている化石燃料の経費も、当然の事ながら高騰することになる。
即ちそれは、低コストエネルギーの名の下に、原発の稼動を正当化させる免罪符にもなりえる訳で、その事についても我々は考えておかなければならない。

そんな訳で、いくらお金を刷って、雨のように空から降らしても、古い水がめが居並ぶ限り、庶民が暮らす大地に水が染み渡る事はないのだ。
であれば、古い水がめを壊すが如く新たな産業や労働市場を構築し、水を汲み変える如く所得の再分配を行うなどして、大地を潤してやらなければならない。
政権交代とは、まさにその絶好の機会となるはずだったのだが、どうやら、安倍政権では、不況や格差がより深刻化する上に、原発再稼動というおまけつきで、つき進んでいくことになりそうだ。

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日本沈没 自民党大勝に思う

右に傾いた船は沈没するのみ。

選挙速報を見ながら感じた思いだ。
これで、日本の政治の左右のバランスは大きく崩れ、糸の切れた凧のように、右傾化に拍車がかかることになった。
まさに、今日という日は、安倍晋三の思い描く美しい日本になる為に、国民が多大な犠牲を払うことが決まった日となるのだ。

選挙結果を受けて、中には、ただ単に自民党政権の時代に戻っただけだと言う人もいるようだけど、それは全く違うと思う。
かつての自民党政権の時代には、社会党という政治的に対抗しうる政党が野党として存在し、なんちゃってながらも二大政党的な左右の政治バランスは保たれていたことになっていたのだが、今度の野党の大半は、自民と親和性の高い新自由主義政党と、なんちゃって左派政党しかいないわけで、もはや安倍の暴走を食い止める政治勢力は皆無に等しいのだ。
更に言うと、新総理となる安倍が取り戻そうとしているのは、かつての自民党政権時代の日本ではなく、戦前の国家体制だということ。
少なくとも、それをなしえる為の改憲を行い、自主憲法を制定した総理大臣として名を残すことに全てを費やしてくることだけは間違いないであろう。
そんな訳で、まさか、右傾化の歯止めを公明党に期待する他ない日が来ようとは、本当に絶望的な政治状況としか言いようがない。

結局、政権交代によって民主党がなしえたことは、中道左派政治の信頼を損なうだけでなく、左派という政治思想そのものを消滅させたことでしかなかったということだ。
これで、日本は更なる混乱の一途を辿ることになる。
ある程度予想していたとはいえ、したくもない覚悟をしなければならない選挙結果となった。

もはや、右に傾いた船が、反動で左へ戻ることに期待するしかないのだろうか、
しかし、その前に沈没してしまっては、元も子もないのだけど...

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石原慎太郎は右脳派?

石原氏「憲法9条のおかげで同胞見殺し」
 日本維新の会の石原慎太郎代表は10日に都内で行った街頭演説で、北朝鮮による日本人拉致事件について「たとえば横田めぐみさんとか、状況証拠からいって200人以上の日本人が拉致されて、殺されている」と述べた。  石原氏は憲法改正の必要性を訴える中で拉致事件に言及し「憲法9条のおかげで同胞を見殺しにした。あんなのがなければ、日本は『とにかく返してくれないと戦争するぞ、攻めていくぞ』という姿勢で取り戻せた」と主張した。
2012年12月11日 産経ニュース

石原慎太郎の脳みそが筋肉で出来ているのは、今更驚く話でもなんでもないのだけど、右派の御用メディアでもあるはずの産経が、このニュースを掲載した意図がいまひとつ理解できない。
さすがに右派や保守系の人達も、この石原発言には賛同できない人の方が多いのではなかろうか。
まさにネトウヨしか歓喜しそうもないニュースを、なんでもまた、どのような意図で産経は取り上げたのか?
とってもどうでもいいことなのだが、とっても気になってしまった(笑)

しかしながら、こういった発言が、注目株の政党の代表かつ目玉でもある候補者から発せられ、そしてニュースとなって公然と飛び交うこと自体に、日本の右傾化をまざまざと感じる次第だ。
思うに、かねてから中道左派の政治勢力の空洞化を当ブログでは危惧してきたけれども、もはや中道右派の存在も薄れる程に、極右思想が受け入れられつつある一端を見ているような気もする。
果たして、極右国家を望んでいる有権者は、どの程度存在するのだろうか?
そんな訳で、メディアによる投票調査は、既に時代錯誤な方法を取っているだけに、実際の得票率の行方が気になるところだ。

いずれにしても、仮に9条を改憲したところで、彼等が思い描いているような展開にはならないのは、目に見えているんだけどね。
弱い犬ほどなんとやらさながら、弱い奴ほど武器を持ちたがるってことは、自覚しているのかな(笑)
そもそも、日本のような海洋国家で、武力侵攻を受ける可能性がどんだけあるのかって話。
核兵器にしたって、使えない武器を持ってたって、なんの抑止力にもならないし、べらぼうに金掛かるだけでしょ。
ただでさえ軍事費が掛かっちゃう国なんだから、どう考えても費用対効果が悪すぎなんですけど...
ある意味、石原慎太郎みたいな政治家が日本に存在すること自体が、すでに抑止力になっているようなものなんだから、それで充分だよ(笑)

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政権公約を透かしてみれば

いよいよ衆議院選挙の投票日まで1週間。
これからの日本を占う大事な選挙となるはずなのだが、争点がぼやけたまま、選挙戦も終盤を迎えようとしている。
それもこれも、どこも聞こえの良い政策の切り売りばかりで、実に整合性を欠いた政党が乱立していることに、つきるのではないだろうか。
そもそも、政策とは、政党や政治家の政治理念や方針によって、それぞれ具体化したものになるはずなのだが、政治理念よりも、1票欲しさの政策を並べるばかりで、結局のところどんな政治を行い、国家ビジョンを描こうとしているのかが、まったく伝わってこない。
そんな八方美人な政策でもって政権を託してくれと言われても出来ようはずもないんだけどね。
もとより、一部の利害が一致しただけで、くっついちゃ離れ、でもって雨後の筍のようにポコポコと政党を立ち上げる政治家の劣化ぶりには、ホント呆れる他ない。
結局のところ、日本の将来より、自分の将来のことしか考えられない政治家しかいないって話なのだ。
大体、脱原発という一つの政策だけで、いとも簡単に新しい政党が出来てしまう訳で、日本の政治はなんといい加減なのだろうと思う次第。

いずれにせよ、今回の選挙は、脱原発とか景気対策とか、上辺だけの政策が争点となっていて、こんなことで日本の政治を決めてしまっていいのだろうかという気持ちで一杯だ。
日本が抱えている問題は、そんな簡単に白黒付けられる単純な話ではないっつうの!

先日のニコニコ動画で行われた党首討論でも如実に感じたことなんだけど、
政治家も有権者も、政治に対して、答えを性急に求め過ぎているように思う。
日本が抱える政治課題は、利害が複雑に絡み合い、一長一短で解決できない事柄がほとんどな訳で、簡単に答えなど出せるはずもない。
現実の政治とは妥協の産物であり、ましてや議員内閣制の政治制度下では、自分の意見を推し進める以上に、対立する相手から妥協を引き出していかなければ、日本の政治は動かない仕組みとなっている。
即ち、利害の調整役として、政治家や政党は存在するのであって、例えば、石原慎太郎や安倍晋三ような、独りよがりな政治を思い描いたところで、実際はそう易々と行かないのも日本の政治なのだ。
まぁ、彼らは、だからこその改憲論者とも言えるんだけど...
したがって、有権者は個々の政策の良し悪しで支持する政治家や政党を決めるのではなく、利害調整に於ける方向性や方針、つまりは国家ビジョンでもって政党や政治家を選ぶ必要がまずもってあるのであり、加えて、政治家におけるリーダシップとは、自分の考えを推し進めるのではなく、相手を巻き込んでまとめ上げる力のある人物を指すということになるのだ。
そんな訳で、アクセサリーのように並びたてられた見栄えの良い政権公約や威勢の良い党首の言葉に、いちいち惑わされていては、日本の将来は覚束ないものになってしまう。
我々は、政治家や政党の素顔や本音を見極めて、価値ある一票を投じなければならないのだ。

じゃぁ、どうやって見極めればいいのかって話になるのだけど、
実は、これって、そんなに難しい話ではないんだよね。

国政というのは、単純な話、どうやって税金を集めて、どうやって国の為にその税金を使っていくかを決めていくことでしかなくて、その考え方は、大きく分けると二通りしかない。
ひとつは、税金を多く徴収した分だけ、多くの公共サービスでもって国民に還元するやり方か、もうひとつは、逆に税金を少なく徴収して公共サービスも少なくする方法かのいずれかしかないのだ。
いわゆる、大きな政府か小さな政府かのいずれかを選択することが、即ち今度の選挙の大きな意義になると個人的には思っている。
ちなみに、世界同時不況の最中、欧米の有権者が大きな政府を志向し始めているのは、当ブログで何度も指摘している通り。

でもって、具体的に言うと、大きな政府を目指すのであれば、増税や社会保障制度の充実を訴える政策になるだろうし、方や小さな政府であれば、規制緩和や、公務員の人員や給与の削減といった政策を訴えることになる。
様々な政策も、大きな政府か小さな政府のいずれに基づくものなのか、それぞれ照らし合わせることで、その政治家や政党の政治理念を透かして見ることが出来るのだ。

そう考えてみると、実は原発そのものは、政策として争点には当てはまらないことがよくわかる。
むしろ重要なのは、エネルギー政策の考え方であって、脱原発にしろ、その中身をどちらのスタンスで進めていくのかを見極めることが大切なのだ。
その他、消費税増税を容認しながら、規制緩和を打ち出すような矛盾した政策を、何食わぬ顔して掲げる厚顔無恥な政党は、平気で有権者を裏切ることが出来る政党だと考えたほうがいいだろう(笑)

ただ悲しいかな、そうやって精査していくと、主義主張の是非はひとまず置いておいて、まともな政党は僅かしか残らないという、日本の政治の劣化ぶりが伺えてしまう所に、正直、絶望的な気分になってしまう。
それでも、政治理念無きなんちゃって政党に投票するよりかは、遥かに建設的な選択になる訳で、まかり間違っても「なにかやってくれそうな」政治家や政党を選ぶことだけは絶対にあってはならない。
即ち、それは有権者の思考停止を意味することでしかないのだ。
結局のところ、誰かに日本の政治をなんとかしてもらおうなどという、無責任な考えが国民の中にある限り、ろくでもない政治家を生み出し続けることになる。
そういった意味でも、今回の選挙は、国民にその自覚があるのかが問われる選挙でもあるのだ。

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民意無き選挙

もう少し粘るかなぁと思っていたけど、自民党の嘘つき呼ばわり作戦が奏効したのか、野田総理が突如解散を決めた。
とはいえ、解散は総理大臣の決断ひとつで決められる訳で、当然、野田総理なりの計算があっての、あの党首会談での突然の解散発言なのだと思う。
恐らくは、民主党内に燻りつつあった野田降ろしの動きを牽制したかったのと、次期選挙を、民主対自民の構図に作り上げようとする狙いがあったように思われる。
つまり別の角度から見れば、都知事の仕事を放り出して第三極のキャスティングボードを握らんとする石原慎太郎の動きに、敏感に反応したとも言えそうだ。
実際、突然の解散で一番慌てているように見えるのが、石原慎太郎な訳で、まさに暴走老人の名の通り、なりふり構わず第三極を作り上げようと躍起になっている。

維新に太陽の党が合流 1次公認の47人を発表
 日本維新の会と太陽の党は17日、基本政策について合意ができたとして合併を正式に決めた。党名は日本維新の会のままとし、太陽の党共同代表の石原慎太郎前東京都知事が代表に、維新代表の橋下徹大阪市長は代表代行にそれぞれ就く。
2012年11月17日 朝日新聞

極右政治家と新自由主義者の相性は、必ずしも一致するとは限らない訳で、拙速な合流は、よくある芸能人のスピード離婚のように破綻も早く訪れるんじゃなかろうかと予想する(笑)
まぁ、いくら政策が一致したといっても、根底にある政治理念が一致している訳ではないので、いずれ歪が出てくることは時間の問題だろうね。
下手すりゃ、選挙まで持たないかも?(笑)
仮に、第三極の流れを作り上げたところで、相次いで離党者が出ている民主党の末路を見てればわかるように、野合によって生まれた政党が上手くいくはずもないのは火を見るよりも明らかな話で、さすがに、有権者もそう何度も引っ掛からないと思うのだけど、果たして結果はどうなるのだろう?

もとい、そんな心配より今度の選挙で一番問題なのは、有権者が、これからの日本や生活を良くしていくために、いくら熟慮を重ねて投票しようと思っていても、それに見あうだけの既成政党が存在していないという、偏った日本の政治情勢の方だ。
日本が右傾化してきたと言われてはいるものの、例えば、反原発デモなど、左派的な考え方を持つ人々も多数存在しており、各種の世論調査で支持政党を持たない有権者の数が増加していることでも明らかなように、国民ではなく、実は政治家だけが右傾化していると言った方が的を得ているのではないだろうか。
前回の選挙では、民主党が中道左派の受け皿として、政権交代をなしえた訳なんだけど、次第に民主党が右派色を強めてきたことで、ドミノ式のように、自民党がより右的な政治色を強めざるを得なくなったというのが、右傾化の実情なのだと思う。
そこへもって来て、更に過激な政治思想を持つ、石原慎太郎や橋下徹が、極右的な言動で脚光を浴びているというのが、今の政治勢力の大まかな構図と言えよう。
そういった意味でも、左派政権に対する有権者の失望を招いた民主党の罪は果てしなく大きいと言わざるをえない。
にも拘らず、民主党を未だ左派政党だと思いこんでいる大勢の政治オンチがいたりする訳で、左派政治の誤ったイメージを抱えたまま選挙に突入してしまうこと自体が、この国の政治の劣化を物語っている。
つまりは、最初からわかりきった事ではあったけど、民主党は、政権交代のみを目的に、左派政党の仮面を被った野合でしかなかったということなのだ。
加えて言うなれば、今まさに、第三極を目指して野合しようとしている維新の会もまた、民主党とさして変わらない野合による政党へと変貌を遂げつつあり、もはや皮肉としか言いようがない事態となっている(笑)

そんな訳で、試しに、現在の政党の分布図を作ってみたところ、政党の大半が右派に収まることとなった。
唯一、共産党が左派の地位を築き続けているのものの、未だに古いイデオロギーを手放そうとはせず、有権者にとって現実的な選択肢とはなりえていない。
方や、本来であれば、社民党が、左派政党として多くの有権者の受け皿となりえるはずなのだけど、現状は、福島党首の無能っぷりが際立つだけの、民意を集めることの出来ない、さえない政党に成り下がってしまっている有様だ。
そこで、小沢一郎率いる国民の生活第一の登場となるのだけど、ここぞとばかりに空席を狙うかの如く、左派的な政策を語ってはいるものの、理念ではなく手段として左派色を打ち出しているのが見え見えなだけに、有権者の信頼を得ることは、まずもってありえないと断言できる。
というように、日本が右傾化に突き進む一因には、既存の左派政党の体たらくが招いた左派の政治勢力の空洞化が、大きく影響しているとも言え、分布図でも示したように、今の日本は極めてバランスを欠いた末期的な政治状況となっているのだ。

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ヨーロッパでは、富裕税が取り沙汰され、アメリカオバマ大統領も、中間所得者への減税を打ち出して再戦を果たすなど、長引く不況に際して左派政権が、世界の政治の潮流となっていく中で、何故だか日本の政治だけは逆の方向へシフトしようとしている。
しかしそれは、必ずしも国民の望む政治と一致しているとは、どう考えても思えないのだ。
例えば、野田総理や橋下大阪市長の政治手法を、ポピュリズムと揶揄する批判があったけども、そもそも民主党にしろ維新の会にしろ、ポピュリズムと言えるほどの国政での支持率を集めてはいない。
つまりそれは、民意が別の所にあることを意味しているのではないかと考えられる。

消費税ひとつを例に取っても、増税するのであれば、大きな政府を標榜することになるはずなのに、やれ公務員削減や公共サービスの民営化など、なぜか小さな政府を目指すような矛盾した政策を掲げる政党ばかりで呆れる他ない。
どちらも庶民にしわ寄せがくる政策でしかなく、彼らを支持するということは、庶民が自らの手で自分達の首を締めるようなものなのだ。
そもそも消費税による増税にしても、民主党がマニフェストを破り、国民生活に関わる重要な税制法案にも拘らず、一切の民意を無視して、民自公の三党合意で勝手に進めて決められたものだ。
しかし、多くの政党は、成立済みの法案としてやり過ごそうとしている。
野田総理が、出来るだけ解散を先送りにしようとしたのも、そして、今度の選挙を民主対自民の対立の構図に見せかけようとしているのも、元はと言えば、消費税を選挙の争点から遠ざけたいとする思惑が作用しているのは明らかだ。
即ち、左派の政治勢力の空洞化はおろか、消費税を争点としない選挙戦が繰り広げられるような事態となれば、もはや民意を反映した選挙なぞ、望めるはずも無い。

政治課題が山積している状況だけに、様々な選挙の争点が飛び交うことになるのは必至だが、少なくとも、消費税や増税を選挙の争点にしないような政党や政治家を当選させることだけは、絶対に避けなければならない。
さもなければ、民意を無視した政治の暴走はどこまでも続くことになるのだ。

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金は天下の回り物

偶然にも1週間の間にあった、まさに今の日本を象徴するようなあまりに対極的なニュース。

日本の富裕層360万人世界2位 資産8千万以上
 スイスの金融大手クレディ・スイスが22日発表した2012年の世界の富裕層数ランキングによると、純資産100万ドル(約8千万円)以上を持つ富裕層は日本に約360万人おり、米国に次いで2位だった。前年より約8万3千人増え、17年には540万人に拡大すると予測している。  ランキングは、1位の米国が1102万3千人、2位の日本が358万1千人、3位のフランスが228万4千人。  一方、5千万ドル(約40億円)以上の純資産を持つ超富裕層は、日本が約3400人で4位。1位は約3万8千人の米国が断トツで、2位は経済成長で躍進した中国の約4700人、3位はドイツだった。
2012年10月22日 共同通信


生活保護受給者、過去最多の212万人
 全国の生活保護の受給者は7月時点で、212万4669人となったことが24日、厚生労働省の集計で分かった。前月比9192人の増加。世帯数も同6989増の154万9773世帯で、いずれも過去最多を更新した。雇用情勢が厳しいことなどから、高齢者世帯のほか、失業などを理由とした働ける世代の受給増加が目立つ。  生活保護受給者は昨年7月に過去最多となって以降、増加傾向が続いている。
2012年10月24日 日本経済新聞

そんな訳で、サラリーマンの平均年収が下がり続ける一方で、大企業の内部留保は年々増えていたりと、まさに格差が拡大する社会に向かって着々と突き進んでいる我が日本。

不況という二文字が飛び交う中、我々庶民が貯金を切り崩すような生活を強いられる一方で、たんまりとお金を貯め込んでいる連中がいるって話なのだ。
即ち、景気が悪いからといって、日本全体が経済的に逼迫している訳ではないんだよね。
先のニュースが示しているように、庶民の所得や資産が減っちゃった分を、一部の人達や企業が蓄財しているに過ぎないだけで、日本全体で考えれば、まだまだお金持ちの国「ニッポン」と言えてしまうのだ。

極論を言うと、資本主義経済とは、市場、即ち日本という財布の中にあるお金を巡って、皆で奪い合いをしているだけに過ぎず、要は誰かが儲ければ、その分、必ず誰かが損を招くということでしかない。
つまり、資本主義経済の宿命として、全員が全員、儲かるなんて事は、実際には起こりえないって話なのだ。

そういえば、橋下大阪市長の口上で「頑張った人が報われる社会」なんてのもあるけど、一見、もっともらしい事を言っているように思えるけど、こと経済においては、例え皆が頑張ったとしても、お金という限られた牌の奪い合いでは、その牌を充分に手に出来ない人が必ず現れるように出来ている訳で、残念ながら額面通りとはいかないのだ。
まして、一部の人々が富という牌を独占すればするほど、その他大勢の人達がよりその牌を手にすることが出来なくなってしまう。
即ち、それが今の日本の現状なのだと言える。

資本主義経済とは、常に利益を追求することが求められ、経済合理性に基づいて進化しようとするアメーバのようなものだ。
そして、その進化は、時として社会という存在を無視してまで暴走しかねない性質を持ち合わせている。
なんせ、汗水流して稼いだ1万円だろうが、くすねた1万円だろうが、1万円の価値はどちらも同じだからね。
だからこそ、社会の秩序を保ちながら、資本主義経済を維持し、機能させていくことが、政治の役割として課させられていることになるのだけど、今の日本は、政治がその責任を果たしているようには到底思えない。
というか、むしろ悪化させることに手を貸していると言ってもいいぐらいだ。

結局のところ、やれ金融を緩和をしようが、やれ法人税を引き下げようが、最終的には資産家や大企業を利する政策にしかならないことに、いい加減気づくべきだ。
デフレにしたって、一見庶民の懐にとってはありがたいように思えるけど、貨幣価値が上がるということは、お金を溜め込んでいる資産家や大企業の方が、よっぽど笑いが止まらないって話なのだ。
単純に考えても、お金を持っているところが使わなければ、経済が硬直化するのは当たり前の話なのに、これでは益々金持がより金持になっていくことになる。
こんな日本になってしまったのも、自らの便宜を計る為に、国民の代弁者のふりをして、大企業や資産家を太らせることに腐心する政治家の存在無くして語ることはできない。
政界や財界の人間達は、果たして、本当に日本の将来を考えていると言えるのだろうか。


思うに、景気が良くなったからと言って、別に国民の資産が増えるという訳ではない。
日本という市場にあるお金は一定量なので、景気が良くなろうとも、皆のお金が増えることはないのだ。
景気が良くなるという事は、即ちお金が増えるのではなく、お金の流れが速くなることだと理解する方が正しい。
消費と生産のサイクルが速くなることで、お金を使っても、収入が途絶えないというスパイラルに入っていることが、好景気の正体なのだと思う。
逆に、景気が悪くなるということは、消費も生産も停滞して、お金の流れが鈍化する状態を指すことであり、まさに今の日本が置かれている状況そのものということになる。
更に言えば、その実体は、まさにダムのように大企業や資産家がお金を貯め続け、国民生活の場である下流が干上がっている状態なのだ。
もしくは、お腹周りだけはやたらに脂肪がついて、手足はガリガリの超不健康体と言ったところだろうか。
決して日本が貧しくなっている訳ではなく、バランスを欠いているのが、今の日本経済の状態なんだと考えてよいと思う。

じゃぁ、景気を良くするにはどうしたらよいのか。

なんのことはない。
実に簡単な話、ダムの水を開放してやればよい。
脂肪を燃やすダイエットをしてやればよい。
要は、バランスの良い循環が起きるように滞った箇所の代謝を促してやればよいだけの話なのだ。

即ち、大企業や資産家が貯め込んだお金を、お金の少ないところに移してやるだけでいい。
でもって、彼らの経済合理性がこれを拒否するのであれば、国が代わりに移し替えてやればいい。
つまり、税金でもって、移し替える政策をすればよいという話。
いわゆる「所得の移転」ってやつだ。

はっきり言って、今の日本経済の処方箋は、それ以外の方法はないところまで来ていると思っている。
しかし、消費税の増税を断行する一方で、法人税の引き下げを訴えるなど、所得の移転と逆行する政策を推し進めようとする政治家が大勢を占めている現状は、極めて悲劇的としか言いようがない。
今の政界や財界を守ろうとする行為は、日本経済の崩壊を招くだけで、言うなれば、蛇が自分の尻尾を食べているようなものなのだ。
法人税にしろ所得税にしろ、今やるべき事は、累進化を推し進めて、大企業が貯め込んだお金を中小企業への補助に回し、資産家のお金を低所得者への社会保障に充てるなど、応分負担となるべく所得移転を計る政策以外にやるべきことはないのだ。

でもって、こういう話になると、大企業が海外に逃げてしまうといった批判的な意見をよく耳にするのだけど、海外に行きたい企業は大いにそうすればいいと思う。
一時的には苦しくなるかもしれないけど、そもそも硬直化している大企業がいなくなれば、その分、新陳代謝が進むことになるだけで、その結果、新興産業や、新たなイノベーションが生まれやすい土壌が出来上がり、投資も促進され、むしろ好都合なくらいだ(笑)

実のらない巨木に水をやり続けている限り、新しい苗木が育つことなど、あろうはずもない。
巨木を生きながらえさせている間に、日本経済が崩壊してしまっても構わないというのだろうか。
そんな巨木は、早く土に返してあげて、新しい土壌を作り、耕し、そして種を蒔き、育てていくしかないのだ。
枯れた巨木だらけの森に、豊かな実りが訪れることは決してはないのだから。

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国民の皆様、右へ参りま~す

まぁ、まだ結論めいた事を言うのは早計かもしれないけど、果たして尖閣を国有化して、なんか日本にとって良いことあったのかね?
中国における反日感情を高め、在中国の日系企業が損害を受けて日中経済の停滞を招き、更には、尖閣諸島の領有権を中国が主張する口実を与えて、領海を緊張状態に招くなど、日本にとって、なんの得にもならないことしか起きていなんですけど...
性質の悪い隣人に、仮に正論だとしても、自分の都合だけを押し通そうとしたって、そりゃトラブルにしかならないのは自明の理な訳で、日本政府の外交センスの欠如はもはや致命的としか言いようがない。

本来なら、事の発端となった石原東京都知事が、まずその責を問われるべきなんだけど、そういった声が聞かれないのが不思議で仕方がないね。
これまでにも、幾度となく中国を罵る発言を公然と行っていながら、面と向かって中国には言わない小心者なだけに、内心冷や汗を掻いていたとは思うけど(笑)
とはいえ、下衆な愛国心が国益を損なうという、見事なまでの典型的なサンプルを露呈してくれたにも関わらず、これまた下衆い政治家の最右翼とも言える、安倍晋三が、野党第一党の新総裁の座を射止めて、次期総理大臣に目される日が来ようとは、さすがにそこまでは想像出来なかった。
これで、先進各国で起きている中道左派への流れとは逆行するが如く、日本の右傾化に拍車がかかる事になるんだろうね。

安倍総裁が靖国参拝 対中韓関係に影響必至
 自民党の安倍晋三総裁は17日夕、秋季例大祭に合わせ東京・九段北の靖国神社を参拝した。中国や韓国が批判する靖国参拝を実行し「毅然とした姿勢」(周辺)を示すことで、支持基盤の保守層にアピールする狙いがあるとみられる。安倍氏は次期衆院選の結果次第で首相に就く可能性が取り沙汰されている。沖縄県・尖閣諸島や島根県・竹島をめぐり緊張が続く日中、日韓関係への影響は避けられない。
2012年10月17日 中国新聞

それにしても、靖国神社っていうのは、右傾化を計る上で、実にわかりやすい物差しだねぇ。
そもそも右傾化つまりは保守化するという事は、国民は国家の為に存在するという考え方を意味することになると思うんだけど、その究極の形のひとつとが、先の太平洋戦争だったと言えるんじゃないのかな。
まさに靖国神社ってのは、その戦争で亡くなった人を、勝手に英霊として奉っている訳で、というか「靖国で会おう」というのが合言葉になるほど、国家の為に犠牲になることを尊ぶ象徴として存在としてきた神社な訳で、そんなところへわざわざお参りに行くということは、右傾化を望む人間しか出来ない芸当って話なんだよね。

最近、愛国心や国益といった言葉が、やたら聞かれるようになってきたのも、まさに、日本の右傾化を表している傾向な訳で、そんでもって、国家の側からしてみたら、右傾化ほど時の権力者にとって都合のいい話はないだろうね。
なにせ、国家を掲げてさえおけば、自分達の意のままに政治が行えるもんね。
つまり、遅くとも来年には誕生するであろう安倍政権が成立した暁には、彼の理想とする「美しい日本」の国造りの為に、国民全員が従わなければいいけなくなるということでもあり、それこそ、総選挙で自民党が過半数を占めるようなことにでもなれば、極右国家としての道を歩む事は避けられないということでもあるんだよね。
日本の皆さんは、本当にそれでいいの?

方や、次の選挙で躍進が囁かれているのが、橋下大阪市長率いる新政党とかになってしまうんだから、ほんと世の中どうなっちゃってるの?って話だよ。
仮に自民が与党として過半数割れでもすれば、連立の筆頭候補になる可能性だってある訳で、どっちにしたって日本がおかしくなっていくことだけは間違いないね。

極右政治家と急進的な新自由主義者のいずれも、国民や労働者の権利を制限してまで、国家や会社の利益を獲得しようとする訳なんだから、そりゃ親和性も高いわな。
ただ、安倍、橋下どちらも主役じゃないと気がすまない性質だから、いずれはぶつかることにはなるのだろうけど。
あっこれ、石原慎太郎にも当てはまるか(笑)
実際のところ、TPPしかり、既得権を守るのか壊すのかで、対立することにはなりそうだね。
ただまぁ、橋下のことだから、安倍総裁にすりよって、当面は連立与党に収まりながら政権のノウハウを蓄積し、天下取りのタイミングを見計らって、一気に攻勢に転じようと算段しているに違いないと想像してみた。

そういった意味でも、最近、支持率が低下したとか言われてはいるけど、今回の、週刊朝日に対するやり方を見ても、やはり橋下市長は、侮ってはいけない政治家なのだと思う。

週刊朝日の連載中止 橋下氏巡る不適切な記述で
 朝日新聞出版は19日、同社発行の「週刊朝日」が10月26日号に掲載した、ノンフィクション作家・佐野眞一氏らによる橋下徹・大阪市長に関する連載記事「ハシシタ 奴の本性」について、同和地区などに関する不適切な記述が複数あったことを理由に、第2回以降の中止を決めた。
2012年10月19日 朝日新聞

自らのタブーを暴こうとする週刊誌に対して、部分的な表現だけを切り取って、あたかも人権を侵害する出版社だと一方的に決め付けたあげく、その責任を親会社に求めるという無理難題をふっかけて、尚且つ関連メディアの取材を一切拒否するという、公人としてはあるまじき姿勢を見せた橋下知事。
どう考えても、筋違いも甚だしい単なる言いがかりにしか過ぎないんだけど、なぜだか世間は、橋下知事に同調的な雰囲気が漂っていて、はっきり言って理解に苦しむ。

局所的な事案を、世間の耳目を集めることで、あたかも問題の全てにすり替えた上で、その答えを自らの極論でもって導こうとする、橋下市長お得意のレトリックに、なんでみんな簡単に引っ掛かっちゃうのかね。
刺青職員や文楽の助成金とか、彼が提起するネタは全て同じパターンなんだけどなぁ(笑)
例えば、これが週刊朝日じゃなくて、別の出版社だったら、今回のような対応を迫る事は無かったと思うんだけど。
そもそも、なぜだか作者の佐野眞一対しては何も言及せず、でもって週刊朝日の編集部をすっ飛ばして、朝日新聞社を糾弾しているところに、橋下市長の狙いが透けて見えるんだけど、どうかな?
つまり、彼の目的は、週間朝日を利用して、大手メディアを牽制し、自分の存在感を誇示する機会に利用したに過ぎないってことだ。
でもって今回、朝日新聞社があっさりと白旗を揚げたことで、結果的には、橋下市長の目論見通り、言論統制を見事なしえた訳で、まさにハシズムの極みを見たような思いがしたね。

一方で、俺も佐野眞一に取り上げられるような大物になったんだなぁ、ぐらいの器量を見せて相手にしなければいいだけの記事に、あれだけの反応を見せたということは、即ち、自らの出自に強烈なコンプレックスを抱いていることを暗に示したとも言える訳で、ある意味、彼の考え方や発言の源泉になっているようにも感じたね。
新聞記者や官僚のようなエリートに対する敵愾心や、因縁をつけるかの如くの論法など、まさに彼の行動原理には、自らのルーツを体現しているようでなんとも興味深い。
恐らくは、佐野眞一もその辺りを炙りだそうとしていたはずで、連載を打ち切った週刊朝日及び朝日新聞社の姿勢は、メディアとしての責任を放棄しただけでなく、その機能を失ったに等しい行為であり、はっきりいって失望以外の何も感じられない。

ついでに断っておくけど、当ブログで差別を容認するつもりなど毛頭ないので、誤解なきよう。
しかし、橋下徹の人格を語る上で、自らのバックグランドに部落問題がなんらかの影響を及ぼしていたのは、紛れもないことであり、それを紐解くこと自体になんら問題は無いと考える。
差別表現を巡っての抗議ならまだ理解も出来るけど、記事の全容が明らかになる前に、橋下市長が抗議を行ったという事は、自分の立場を利用して問題を歪曲化し批判や言論を封印しようとする行為でもあり、むしろ、そちらの方が非難されるべき事だと思うのだけど。
同様に、週刊朝日は休載に至った経緯と検証を明らかにする責任があると思うのだけど、なんか期待薄な感じだね。
差別問題を取り上げるならば、いずれも正面から向き合う必要があるにも関わらず、両者共に明らかに問題をすり替えようとする姿勢が見え隠れして、いい加減にしろ!と言いたくなる。

そんな訳で、話がやや横道に逸れてしまったけど、ここ最近の出来事を見て思うのは、日本は大きく右に舵を切り始めただけでなく、独裁者を生み出しやすい土壌も生まれつつあるということだ。
民主党が国民のフラストレーションを高める政治を行う一方で、その受け皿となりうる政治勢力の暴走に歯止めが掛からなくなってきている。
加えて、政治の監視機関でもあるはずのメディアが、機能停止に陥ったとなれば、果たして日本はどうなっちゃんだろうね。
もはや、軌道修正が効きかない所まで来てしまった訳で、ほんとお先真っ暗だよ。

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歪ゆく日本

谷垣総裁が出馬断念=自民総裁選
 自民党の谷垣禎一総裁は10日午前、党本部で緊急に記者会見し、党総裁選(14日告示、26日投開票)への不出馬を明らかにした。谷垣氏は再選出馬を目指す考えを繰り返し示していた。しかし、派閥の実力者らに推された石原伸晃幹事長(55)が反旗を翻す形で立候補に意欲を示したことで劣勢が伝えられており、出馬断念に追い込まれた。
2012年9月9日 ウォール・ストリート・ジャーナル

谷垣総裁を降ろしたということは、即ち、野田、谷垣の手打ちが無効になったことを意味するものと思われる。
恐らくは、両者の間に解散時期や連立に関する何らかのコンセンサスが存在していたと想像するのだが、これによって、白紙に戻されたということなのだろうか?
これで自民党は民主党に対する方針を、大きく変えていくつもりなのかもしれない。
要は対決姿勢を強めるということだ。

とはいえ、留まることを知らない民主党の翼賛化によって自民党が飲み込まれつつある今、相違点を見つける方が難しいほど、両党の差は無くなってしまっている。
自民党としては、石原幹事長を担ぐことで、若さや決断力をアピールして、なんとかして民主党との違いを見せつけたいところなのだろう。
でもって、より右傾化した政策や発言を連発するなどして、更なる民主党との違いを出そうとしてくるんじゃなかろうか。
特に尖閣問題は、石原幹事長のお父ちゃんも絡んでいるだけに、恰好のネタになりそうな予感。
また、余計な外交問題にまで発展しなければいいけど...

一方の、民主党の方はというと、野田再戦でほぼ決まりの様相を呈している。
自民党の総裁交代が決定的となった以上、これで早期の解散の目は無くなったと言えるんじゃないのかな。
いずれにしても、毎度お馴染みの膠着した政局が当面続くということだ。

それにしても、両党首選共に人材不足なのが一目瞭然な見事なまでのラインナップ(笑)
何の魅力も感じられない立候補者達が、消費税と反原発をNGワードにした党首選を繰り広げることになる訳で、市民感覚から凡そかけ離れた党首争いを世間に晒して、なんかいいことあんの?
低次元な党首選を見せ付けて支持率が上がるとでも思っているのだろうか。

それこそ、既成政党への失望は、そのまま橋下新党を利することでしかないんだけど...
つまりは、民主党と自民党が低次元の政局争いを繰り広げている間に、橋下新党が支持を着々と伸ばす構図が出来上がっていくということ。
即ち、政権与党が翼賛体質を強めていく一方で、野党第一党が右傾化によって存在感を示そうとすれば、いずれも支持しない人達の受け皿として、カリスマリーダーが誇る急進的な新自由主義の政治集団が、その勢力を延ばしてきているというのが、今の日本の政治が置かれている状況なのだ。
しかしまぁ、なんと歪な政治の勢力図なのだろうか!
ほんと、この先、日本はどうなっちゃうんだろう。

その橋下新党に関しては、いずれ考えをまとめようと思っているのだが、当ブログでは断固反対の立場であることをここに明言しておきたい。
まずもって、橋下市長の独裁的な政治手法を支持する事はできないし、何より強烈な新自由主義に基づいている政策ポリシーは、今の日本をより最悪な状態に招いていくものと考えている。

橋下市長の言動には、政治や行政を民間会社や会社経営に置き換えている節が多々見受けられるが、それはとんでもない間違いだと思う。
そもそも利潤の追求と公共のサービスを同列に語ることなどありえない話なのだ。
公共サービスがあるからこそ国民が安心して暮らせるのであって、そこに経済合理的な判断が入り込む余地はない。
重税感の解消は、公共サービスを充実させることであって、減税や公共サービスの削減は、市民生活に不利益をもたらすことにしかなりえないのだ。

結局のところ、橋下新党が目指そうとする社会は、経済的に恵まれ者だけが悠々自適に暮らせる社会でしかない。
しかし、それは、多くの庶民の犠牲の上によって成り立つ社会でもあるのだ。
かつての小泉元総理は「痛みを伴う改革」といって多くの庶民の支持を得たけれども、
実際は、その痛みを一方的に庶民に押し付けて、本人は何ら痛みを共有する事無く優雅な隠居生活を送っている。
当時、熱狂的に支持した多くの人達は、そのことをどう思っているのだろうか?

はっきり言っておきたいのは、橋下新党の政策理念は、そんな小泉改革をより先鋭化した新自由主義の政策そのものであるということ。
庶民から所得を奪い、公共サービスを奪おうとする国造りを目指しているのだ。
ルサンチマンに煽られた多くの人々が、橋下市長に期待を寄せる構図が見受けられるが、結局のところ、橋下新党の政策で痛い目を見るのは、そういった人々自身であることをお忘れなく。

我々有権者は、政治家の実行力を支持するのではなくて、実行しようとする中身を支持しなければならないのに、政治に対する極度な閉塞感が、国民の冷静な判断を狂わそうとしている。

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すべては保身の為に

急に谷垣自民総裁がキレだして、道理の通らない問責決議案を出したのも、全てはシナリオ通りだったのかもしれない。
要は、わざと国会を空転させることで、党首選や来たる選挙に向けた時間稼ぎをしようといるんじゃなかろうか。
つまりは、消費税増税法案成立後の思惑が、野田、谷垣の両者で一致していたと見るほうが、なんだか腑に落ちるんだよね。

巷では、解散総選挙の話題が一人歩きしているけど、民主党からすれば、今選挙をしたところで惨敗は目に見えている訳で、出来るだけ先送りしたいと考えているだろうし、自民党にしても、過半数の議席が取れるほど楽観的な状況ではないので、焦って今すぐ総選挙とまでは考えていないように思う。
まずは、党首選で、潮目が変わるかどうかを見極めたうえで、他党の動きも見ながら、解散なり連立なりという流れを見据えていると考えた方が妥当だ。
おまけに、尖閣竹島問題が勃発してくれたことで、野田総理にとっては、内政問題から国民の目を逸らす恰好のネタもゲットしたことになる訳で、結局のところ、代わり映えのしない政治が当面続くということ。

そんな訳で、果たして、両党の党首選は、消費税や反原発が争点になるのだろうか?
いや、そんな訳は無いだろうね。
恐らく、そういった民意を無視した中途半端な党首選で、お茶を濁されるのが関の山。
それこそ、野田、谷垣が再選されようものなら、連立政権が出来るかもよ。

要は、反消費税や反原発が争点となる総選挙を恐れて、なるべく民意を遠ざけたいのが、永田町の本音ということだ。
でもこれって、有権者の政治に対する不満や不信を増幅させるだけでなく、その解決を橋本市長のような政治家に託したいとする風潮を作り上げてしまうことにもなるんだよね。
どっちにしても、お先真っ暗な日本の政治ってことだ。

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ナショナリズムという垢

オリンピックで世間が浮かれている間に、まんまと消費税増税法案を成立させた民主党について、ボロクソにこき下ろそうと思っていたら、急に領土問題が降って沸いてきた。

まさに以前のエントリーで指摘した通り、蜂の巣をつついたような騒動になっている訳なのだが、ちょいときな臭い事態にまで発展しそうな勢いだ。
だから言わんこっちゃない。
石原慎太郎の下衆な愛国心に、野田政権が慌てて乗っかってしまったもんだから、このザマだ。
まぁ、同じようなことは、韓国の李明博大統領にも言えることなのだが...

はっきり言って、尖閣にしろ竹島にしろ、それほど領土的価値の高くない島々に、国のメンツを託すのは、あまりにナンセンスとしか言いようがない。
得るものより失うものが多い争いに、一体なんのメリットがあるというのか。
無人島同然の島の扱いなど、両国間の経済関係によって生み出される双方の国益を考えれば、取るに足らない話のはずなのだが。

元はと言えば、野田政権による尖閣国有化にしろ、韓国大統領の一連の言動にしろ、外交上の着地点などなんら描いていない内政的な政治パフォーマンスにしか過ぎず、国家の最高権力者としては不適格としか言いようがない。
つまりは、自らの政権維持を図りたいが為の支持率欲しさに、禁断のカードを使ってしまった訳で、その無責任なパフォーマンスによって、無益なナショナリズムを煽ろうとしている。
いかんせん着地点が見えないだけでなく、日中韓が三つ巴となっている領土問題だけに、それこそ北朝鮮がヒール役として登場でもしてこない限り、延々と燻り続けるだけで、当事国で解決する方策なぞ現実には存在しえない問題なのだ。
むしろ、展開次第によっては、当事国同士の関係が悪化することでしかなく、もはや後戻りできない厄介な外交問題へと、わざわざステイタスを引き上げてしまったということになる。

そもそも、日本政府が領土問題の解決を本気で取り組むつもりならば、北方領土の方が遥かに重要な案件のはずなのだが、それこそ北方領土を国際司法裁判にかけるといった話が政府から持ち出される気配はない。
即ち、領土問題全体で考えてみれば、今回の日本政府の対応には、甚だ整合性を欠いていると言わざるをえない訳で、つまりは、尖閣も竹島も、政治パフォーマンスとしての利用価値しかない、ただの小島にしか過ぎないということなのだ。
紛争地帯ならまだしも、それぞれ既に実効支配がなされている領土を巡って、わざわざ寝た子を起こす必要など全く無かったのに、幼稚なナショナリズムのお陰で、無駄な代償を支払う羽目になろうとは、なんとも滑稽な話でしかない。

オリンピックですら、くだらないナショナリズムを見せ付けられてうんざりしているのに、更にくだらないナショナリズムに、振り回されるのはご免こうむりたい。
だいたい、国益を損なってまで満たそうとするナショナリズムって一体なんなの?
こうして、くだらないナショナリズムに国民が付き合っている間にも、民主党政権による悪政が着々と進んでいるというのに。

今回大騒ぎしている各国の連中を見て思ったんだけど、そもそも行動原理や性格は同じようなものなんだから、日中韓の幼稚な愛国者同士で、一緒に風呂にでも入ってみたら、案外、意気投合でもするんじゃないの?(笑)
ついでにナショナリズムの垢も、洗い落としてくればいいのに。

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